「歴史を動画で知ろう!」コーナー第2回目は「新生代の第四紀時代」とさせていただきました。第四紀とは人類の時代のこと。地質学的には現代も人類史そのものも新生代の第四紀時代に含まれますが、地学と歴史学の区別として人類が文明を興した時代までを第四紀の時代とするのが一般的なようです。人類が文明を興す時代までが第四紀ならばいつからが第四紀と呼ばれる時代なのでしょう?
具体的には人類の祖先と言われる猿人が故郷のアフリカを出て草原を渡り大陸横断し始めた頃からを第四紀と呼ぶみたいです。猿人のアウストラロピテクスは400万年前にアフリカに出現したので第四紀のスタートは約400万年前と考えれば理解し易いかと思います。最近の研究では600から700万年前にも直立2足歩行をした類人猿は居るらしいですが歴史の教科書では400万年前からが人類の歴史とするものがやはりオーソドックスなようです。
人間の進化については謎が多くWikipediaでも単独の記事が出来るほど詳しく書かれてますがネズミから猿に進化するまでの過程や猿から猿人になるまでの過程は化石が見つかっていないので実はよく分かっていない。もっと言えば、初期の哺乳類の存在は認められてるものもアデロバシレウスは恐竜の糞の化石の中に砕けた頭骨の破片がいくつかあった程度なので哺乳類の起源についてもあまり詳しく分かってなかったりする。哺乳類が地球上に出現したのは恐竜が出現した同時期ともジュラ紀の間とも言われてる。まぁ、スタートダッシュは間違いなく爬虫類にも恐竜にも遅れを取ってた事でしょう。哺乳類のスタートダッシュの遅さは生存競争において何度か命取りになることがあった。恐竜絶滅後の新生代古第三紀の時代も鳥類に遅れを取り恐鳥類の餌となっていた。
ところで、哺乳類の出現は約1億5000万年前と言われている。恐竜が全盛期を迎えていたジュラ紀の真っただ中ですね。彼等はトガリネズミのような姿で夜に活動していたが小型の恐竜の餌にされることが多かった。最近は新生代に至るまでネズミのような姿の哺乳類しか居ないと思われていたが恐竜の子供を食っていた哺乳類の化石も発見されているので多分猫ぐらいの大きさの哺乳類も恐竜の時代は生きていたんだと思う。恐竜の子供を食べた哺乳類はレペノマムス・ギガンティクスと呼ばれる。再現CGでは植物食恐竜プシッタコサウルスの子供を食べるカワウソのような哺乳類だった。川岸で襲っていた事からおそらくカワウソのような生態だったんじゃないかと思う。プシッタコサウルスはUSJのアトラクションにも出てきた有名な恐竜で、トリケラトプスやモノクロニクスのような角竜の先祖だと言われています。彼等は基本四足歩行ですが、獣脚類の特徴である二足歩行も兼ね備えていたようで彼等の身体は前足が短いので背の低い木の果実や葉を食べていたと言われている。角竜達の固い嘴は鳥と共通しているが角竜達は鳥の先祖ではなく、鳥と分岐進化した兄弟のような関係と言われている。実は学術的には現代にも恐竜は生存している事になっている。学術的な恐竜の意味は現生の鳥類を含んでおり、学者が論文や学会などで研究発表する場合は「非鳥類型恐竜」と呼ばなければならないらしい。90年代前半は恐竜が鳥類に進化したという学説は一般的には珍しく異端視されていたが、徐々に鳥類と恐竜を結ぶミッシングリンク的な化石が発見されていくとその説は通説となった。
鳥類は獣脚類の仲間とされている。獣脚類とはティラノサウルスやヴェロキラプトルのような二足歩行型の肉食恐竜の事である。パラサウロロフスやイグアノドンのような二足歩行の草食恐竜を鳥脚類なんていう。トリケラトプスやアンキロサウルスのような四足歩行の草食恐竜は鳥盤目に属する。恐竜のDNAを現生の鳥類が引き継いでいるのがティラノサウルスなどの肉食恐竜などである。恐竜の進化はややこしいが、三畳紀初めに登場した恐竜、コエロフィシスはラプトル系の特徴を持った約2メートルの俊敏なハンターだった。三畳紀、中生代のスタートから恐竜の時代が始まったと伝えるメディアは多いが、実際は様々な生物種が群雄割拠する時代で、スーパープルームの影響で火山活動が絶えることのない不安定で危険な時代だった。三畳紀には大型爬虫類、ポストニクスや単弓類の生き残りであるキノドン属などが活動している時代でもあり恐竜一強の時代とは呼べなかった。三畳紀の恐竜は獣脚類のテコドントサウルスのような二足歩行の華奢な恐竜ばかりが出現しており、植物食は居なかったと思われる。ジュラ紀に入ると恐竜のバリエーションが一気に拡大した。地球環境が安定化し、試験段階だった気嚢システムも機能すると恐竜は大型化し、多種多様な種を生み出していった。アロサウルスのような大型の肉食恐竜、雷竜と呼ばれる首の長いブラキオサウルス、堅い鎧を持つアンキロサウルス、角竜の先祖であるプシッタコサウルス、二足歩行の草食恐竜イグアノドンなどが誕生していった。獣脚類から分岐進化したのが鳥脚類や鳥盤目、竜盤目などで原始的な鳥類もその中から分岐進化していった。白亜紀の大量絶滅まで嘴のない歯の生えた鳥というのが生きていたが、大量絶滅後は嘴のある現生鳥類のみが生き延びた。歯の生えた鳥は恐竜と共に絶滅していった。現生鳥類の嘴は角竜や鳥盤目、鳥脚類の恐竜達と同じ特徴を持っている。彼等は嘴という特長を得た事で歯を持つ必要がなかった。
人類と現生の猿の共通の先祖はアフリカのグレートリフトバレーに住んでいたと考えられているようでジャングルで暮らしていた人類は草原に降り立ち二足歩行で暮らすようになったとされている。これが猿人アウストラロピテクスの始まり。ジャングルに残った猿はチンパンジーに進化していった。チンパンジーと人間のDNAは99%同じ構成らしい。ちなみに犬と人のDNAは75%成分が同じで、植物とは33%の確率で人と成分が同じなのだ。やはり人間は地球に居る全ての生物とDNAは繋がってるのだ。1%でも人と同じ成分を持った生物は必ず居る。人間とチンパンジーは進化の樹形図で見たら兄弟なのだ。猿がジャングルを離れて猛獣が蠢いている危険なサバンナへ降り立ったのは謎とされている。様々な仮説がある。一つは食糧不足によるもの。暮らしてたジャングルの食糧が不足してきたので仕方がなくジャングルを降りたという説。別の説では暮らしてたジャングルが気候変動や地殻変動で消滅し砂漠化した為移住を余儀なくされたという説。いずれにしても進化は生き延びる為の一つの手段なので身に迫る危険が無ければ進化の必要性がないわけだから約400万年前に彼等の故郷に何かがあったのは間違いないだろう。森林が枯れなかったチンパンジー達はそこに住み続けた。この頃からだ。人が猿と別れた日は。猿人が直立二足歩行を始めたのには理由がある。草むらに隠れている猛獣の姿を見つけやすくすることと早く逃げる為だ。二足歩行することで自由になった両手は次の進化で物を握る能力に特化させた。約50万年前に原人へと進化した。歴史の教科書ではアウストラロピテクスが進化したように思えるが彼等とは全く別の種が進化した姿が原人種だ。ホモ・エルガステルやホモ・エレクトゥスが有名であろう。原人種は体毛が薄れ始めて大脳が発達し始めて物を握り武器を作り火を起こせるようになった。その次の進化は10万年前に現れた旧人でネアンデルタール人などが有名であろう。彼等旧人クラスになると見た目についてはホモ・サピエンス(人間)と変わらない。旧人は壁画を描き服を纏い埋葬の習慣などがあったとされる。ネアンデルタール人の脳容量は現代人より多いが知能は新人より発達しなかった。ネアンデルタールは現代人の直接の先祖と考えられているが現代人の先祖と一切関わりがない種族だったと考えられていた。だが、最近の研究でアフリカで暮らしているネグロイド以外の人類にネアンデルタールのDNAが数%混じってることが明らかになってきた。ネアンデルタールなどの旧人より更に発達した文化と知能を携えた人類が新人と言われるクラス。クロマニョン人のような人類を新人と呼ぶ。そしてホモ・サピエンスは現人種と呼ぶ。ネアンデルタールより脳容量は少なく頭が小型だったらしいが我々が想像する原始時代に生きていた人類のような生活を送っていた人類は彼等が適当だとされる。彼等は数万年前に出現した。
ちなみに尾がない猿の事を真猿類、尾のある猿の事を原猿類と呼ぶ。英語ではこのように区別するApe(尾のない猿)、Monkey(尾のある猿)。これ以外にも英語では様々な呼び方があるが、映画「猿の惑星」の原題が「Planet of Ape」なのは地球を支配している猿が全て真猿類だからである。我々人類とよく似た猿の事を類人猿とも呼ぶ。これは真猿類を指す。我々の先祖は約5000万年前、樹の上で生活していた。ネズミのような姿で中生代とあまり変わらない生活をしていた。その理由は地上にディアトリマなどの恐鳥類が支配していたからと言われている。この頃、既に哺乳類は拡散的に多種多様な種に進化していたが地上は恐鳥類や陸上性のワニ類が支配する世界だった。その為、哺乳類は中生代からそれまで夜行性の生活を余儀なくされた。現生のネズミが現在でも夜行性なのは中生代やこの頃のDNA的な記憶があるので本能的にそういう生活リズムが成り立ってしまっている為だ。哺乳類は長い夜行性の生活をせざるを得なかったので、魚類や鳥類、爬虫類や両生類に比べて色覚の認知数が衰えているとも言われている。やがて恐鳥類はヒエノドンのような肉食性の哺乳類が誕生した事でニッチを奪われ絶滅していくことになる。それに併せて陸上性のワニ類も肉食性の哺乳類に駆逐されて水生のもののみが生き残るようになった。我々の先祖にとって楽園が来たかと思われたが、陸上の世界はヒエノドンが開拓した肉歯目の帝国となっていた。樹上ではミアキスと呼ばれる食肉目の先祖が現れ、彼等はネコ科の動物とイヌ科の動物に分化していった。クジラ目の先祖の出現や食肉目、メソニクス目などの新たなライバルの出現で地上の世界では肉歯目が生存競争に敗北して絶滅していった。クジラ目の先祖は新たな餌を求めて水生に完全に適応していき、海に進出した。彼等はカバやイルカ、シャチなどを生み出し、自らも地球史上最大の大型動物シロナガスクジラを生み出した。クジラ目は海を支配していたメガロドンのような大型の鮫を滅ぼした。地上世界の覇権を食肉目に握られた為、我々の先祖は樹上の世界という限られた狭い世界でしか生きられなくなった。先祖はより多くの餌を手に入れる為に目の構造を切り替えた。立体視が出来るように視細胞の数を増やして目の位置を正面に向けるように切り替えた。これにより、優れた視界と空間認識能力、色彩感覚を手に入れた我々の先祖は樹の上に生えた果実を掴む為に手を発達させていった。他の動物が出来なかった物を握るという行為が出来るようになったのである。これ原猿類が生まれた原因と言われている。やがてジャングルから降りる者も現れた。彼等はバランス感覚と二足歩行を実現する為に尾を無くした。真猿類の登場である。おそらく樹から落ちた果実を拾う為に地上へ降りたと思われるが、そこで偶然昆虫やキノコ、小動物などの知らなかった食材があることを知り、樹から降りるようになったのではないかと思われる。
さて、新生代の歴史を振り返ろう。約6550万年前にメキシコのユカタン半島に巨大隕石が衝突。これにより恐竜とそれに準ずる大型動物の約75%が絶滅した。隕石衝突によって劇的に変化した地球環境を「衝突の冬」と呼ぶ。ガンダム作品やSF小説によく出てくる核の冬のようなものだ。巨大隕石の威力は広島に落とされた原子爆弾の約20倍だとされている。隕石によって巻き上げられた粉塵とそれにより飛び散った火の粉は山火事を発生させ火山活動を呼び起こし、火山灰により地球の大気を覆い尽くした。太陽光が火山灰により届かなくなり、光合成が出来なくなった植物は絶滅。それを食べる植物食の動物も絶滅。その死体が尽きた頃に肉食動物も絶滅していった。海で暮らすワニ類、魚類、鮫、亀などは生き残った。何故か魚竜や首長竜は絶滅した。おそらく巨大なワニや亀なども絶滅していると思うが深海に暮らす巨大鮫、メガロドンなどは生き残ったようだ。空では翼竜と歯の生えた鳥が絶滅した。トリケラトプスやイグアノドンのような嘴の特徴を持った現生鳥類は生き延びた。現生鳥類が生き延びた仮説としては卵を温める習性があったからと言われている。現生鳥類に繋がる一部の恐竜、マイアサウラや卵泥棒という学名が付けられたオビラプトルなどは長い前足で卵を温めて子供を育てる習性があったと言われる。数多くの爬虫類と恐竜は子育てをしないと思われていたが、実は恐竜の一部にも子育てをするグループが居た事が近年の研究で明らかになっている。羽毛を持つ恐竜の羽毛の意味は卵を温める保温機とする学者も居る。彼等の長い前足はやがて空を自由に飛び回る翼として鳥に受け継がれていくことになる。歯の生えた鳥が絶滅したのはおそらく子育てをしなかったので残った卵を全て哺乳類に食べられてしまったからではなかろうか。中生代から新生代までのふるいにかけられて生き残った種族は哺乳類、嘴のある現生鳥類、亀やワニ、トカゲなどの爬虫類、鮫、魚類、昆虫、カエルなどの両生類と限られた身体の小さい種ばかりであった。白亜紀の大量絶滅により68cm程の体長があったレペノマムスのような小型哺乳類なども絶滅した。残った哺乳類はキモレステスのようなネズミ程の体長しかない哺乳類だけであった。NHKやBBCの古生物関係の番組では中生代では哺乳類はネズミ程度の大きさしかないネズミそのものの哺乳類しか居なかったように伝えるものが多いが、実際は違う。既にジュラ紀ではレペノマムスのような捕食性のある肉食哺乳類が居たし、アリクイのように長い爪で昆虫を食べる60cmを越える小型哺乳類も生息していた。たまたま白亜紀の大量絶滅で恐竜と共に滅んだだけで、実際は哺乳類は中生代を通してずっとネズミのままだった訳ではなかった。犬や猫程度の大きさのものも居た。隕石衝突後に迎えた新生代という新しい時代の初めに大型動物は居なかった。アラモサウルスのように恐竜の生き残りが隕石衝突後の約50万年後の世界にも生きていた報告例があるが彼等も餌の不足と新たな種との生存競争に敗北して絶滅した。新生代を迎えるまでに残った動物達がどうやって生き延びてきたかはよく分かっていない。それはスーパープルーム後の世界でも同じことだ。ただ小さな動物は大きな動物の死骸や卵、同じく生き延びた動物を食べて生き残ってきたことは予想出来る。
約5500万年前になると、ようやく地球環境は元の平穏を取り戻し始めていた。新生代は中生代程酸素濃度が濃くなく、真夏のような気温もなかった。最初に地上を支配した動物は恐鳥類と呼ばれる種族だった。恐鳥類は嘴のある現生鳥類とは分岐進化した鳥類で、その巨大な体格はかつての恐竜を連想させるものであった。恐鳥類は恐竜の子孫にあたる。現生鳥類は獣脚類と呼ばれる肉食恐竜の一部から進化した種である為、巨大な体を持つ恐鳥類は捕食性のある獰猛な肉食動物であった。彼等の獲物は勿論約1メートル程の体長にまで進化した哺乳類であり、馬の先祖やカンガルーとよく似た特徴を持つ大型のネズミなどを捕食していた。翼はあったが身体が約3メートルある巨体だった為、武器は巨大な嘴と獣脚類から受け継いだ足であった。キック攻撃で獲物を叩きつけて怯ませて嘴でトドメを刺すのが彼等の戦法だった。当然、彼等の前足はティラノサウルスのように使い物にならなかった。初期の哺乳類は植物食ばかりの大人しい動物ばかりだったが、ベーリング海峡と氷河で孤立していたアジア大陸だけは別だった。恐鳥類と陸上および淡水地域に生息するワニ類という天敵の驚異から隔離されていたアジア大陸で哺乳類は爆発的に拡散して進化していった。そんな中で生まれた動物が肉食性哺乳類の誕生だった。ヒエノドンと呼ばれる犬のような哺乳類は別名ハイエノドントと呼ばれるが、彼等は現生哺乳類の先祖ではない。絶滅種である。ヒエノドンは姿形は狼などに似ているが、肉歯目と言われる種族で現生哺乳類と関係ない。だが、彼等肉歯目は我々現生哺乳類にとっての救世主だったということだけは間違いがない。大陸移動と地球環境の変動により北米大陸とアジア大陸の氷河が溶けて地続きになった。それにより、ヒエノドンは恐鳥類やワニ類が支配する北米大陸へと進出する。単騎突進型の恐鳥類やワニ類と違い、ヒエノドンはチームで狩りをするタイプのハンターだった。獲物をかけた争奪戦に敗れた恐鳥類はヒエノドンに敗北し衰退していった。約500万年前ぐらいまでは南米大陸だけの恐鳥類が生き延びるが、それもスミロドンなどの食肉目の進出により恐鳥類は完全に絶滅することになる。ヒエノドンがもたらした勝利。これにより人の先祖になるネズミも植物食哺乳類の楽園が切り拓かれたように思われたが、実はヒエノドンや肉歯目達そのものも天敵だった。植物食哺乳類は恐竜時代の植物食恐竜とよく似た特徴を持ち備えていった。角のある動物(ケサイ)、地球史上最大の陸上哺乳類(インドリコテリウム)、堅い鱗と尻尾に棘を持つ哺乳類(グリプトドン)、3メートルを越える霊長類(ギガントピテクス)、馬の頭にゴリラのような体格を持つ動物(カリコテリウム)などである。彼等は恐竜程ではないが現生哺乳類よりも遥かに大きく3メートルを越える種が殆どであった。中には巨大なナマケモノ(メガテリウム)も居た。それは哺乳類に限らず鳥類にも大型の鷹や鷲のような動物が居た。大人のヤギや牛を容易に掴める大きさだった。肉歯目は植物食哺乳類の驚異的な進化の前に絶滅していった。
後に肉歯目の後継者として現れる事になったのがメソニクス目やクジラ目、食肉目などの肉食性の哺乳類である。メソニクス目は蹄のある肉食性哺乳類で頭だけで約2メートルを越えるアンドリューサルクスなどが現在のモンゴル平原にあたる大陸を駆け巡っていた。メソニクス目は食肉目との生存競争に敗れ絶滅していった。食肉目とは猫や犬、アザラシや熊などの現生の肉食性哺乳類の種族である。ミアキスと呼ばれる犬と猫の共通の先祖は霊長類と同じく樹上生活をしていた。ある時、餌不足や餌の大型化により樹上を降りざるを得なくなった。草原生活に適応したミアキスはイヌ科へ、樹上と地上を交互に行きかうミアキスはネコ科の動物へ進化していった。イヌ科の動物はオオカミ、ジャッカル、ダイアウルフなどに進化していった。人との出会いは約1万年前と言われている。人の残飯目当てで人の住処に近付いていたオオカミはやがて人に懐き、猛獣などの危険をいち早く察知し人に遠吠えで知らせる家畜へとなっていった。猫は約5000年前にエジプトでペット、神の使いとして持て囃されたのが人との交流の始まりと言われている。メソニクス目、肉歯目との生存競争に勝利したのは食肉目のネコ科の動物やショートフェイスベアなどの熊であった。生存競争に敗北したメソニクス目や肉歯目は衰退した恐鳥類のようにスカベンジャー(腐食者)として生きる道を取らざるを得なかったが、雑食性のダエオドンなどにそのニッチまでも奪われてしまう。ダエオドンとは約3メートルを越える巨大な猪で、猪は偶蹄クジラ目に属する哺乳類だった。猪として誕生してすぐに猪はスカベンジャー(腐食者)のニッチ(生態的地位)を占めていた。あまり知られていないが、実は豚や猪は植物食性の哺乳類じゃない。中国の歴史ではある皇帝の后が側室にジェラシーを感じて、その側室をトイレの下に落とした。その餌場で待ち構えている豚達は糞の臭いに覆われた側室の目や鼻や耳を食い尽くしたという伝承が残っている。近年でも豚小屋で心臓発作を起こした老人が家畜の豚に殆どの身体の部位を食い荒らされるという悲惨な事故があった。豚は目が悪く殆どの物が見えないので臭いで物を感知するらしい。その為、肉であろうが果実であろうが食べられる物は何でも食べるという習性になってしまったようだ。ダエオドンは死肉以外に小動物や果実、キノコ、草等を食べる大人しい動物とされているが、ディノヒウス(恐ろしい豚)という学名も付いているので縄張りに侵入したり怒らせると小型動物さえも捕食するかもしれない。『エデンの檻』という漫画では血まみれの臭いによりヒエノドンに捕食され、身動き出来なくなったところにダエオドンがトドメを刺しにくるという追い打ちをかけるような悲惨なシーンがあったが、おそらくこういう動物は普通の捕食動物以上に恐ろしい。現生の猪でさえ、健康状態の人間に突進してくるぐらいだから、3メートルを越える豚なんて容赦なく人間を捕食しにかかると思われる。恐鳥類も最終的にはスカベンジャーに落ち着いたが、最後まで孤立していた南米大陸も北米と地続きになるとスミロドンの進出や現生の鷹やハイエナ、ワシなどの進出により絶滅していった。
クジラ目は近年までメソニクス目から進化したと思われていたが、実はメソニクス目とは限りなく近縁であるがメソニクス目とは別の独立した種族であることが分かっている。ついでなので亀の先祖と思われていた無弓類も亀と近縁ではあるが分子生物学の遺伝子情報から亀と無弓類は関係がないことが判明している。クジラ目の歴史も古く、最初は大きな顎を持ち四足で歩行する陸上動物だった。しかし、陸上でのライバルの多さから淡水地域で幅を利かせていたワニ類から淡水地域での捕食者としてのニッチを奪取した。恐鳥類と同じく地上世界を支配していたワニ類はクジラ目の登場により、陸上と淡水地域から姿を消す事になった。現在のワニが生息している地域は汚い泥水の溜まった湖や沼などである。ワニ類は約7万年前の日本にも生き残っていたが氷河期が到来するとアフリカの淡水地域以外全て絶滅していった。クジラが淡水地域を支配すると、クジラは新天地を求めて海へ進出していった。沼や湖から川へ、そして海へと進出していった。その旅路の中で生まれた子孫がカバやイルカ、シャチなどの哺乳類である。カバは昔、ラクダと共通の先祖を持つと言われていたが、近年の研究でクジラと近いことが分かった。先ほど紹介した猪も鯨偶蹄目に属するのでクジラの先祖から生まれたと思われる。海に進出したクジラとシャチは深海から復活したワニ類やメガロドンを駆逐していった。ワニは元々海での王者だったが、クジラとの生存競争に敗れて海生のワニも滅ぶ事になる。メガロドンはシャチのチームプレーなどで捕食され尽くしたと言われている。こうして海で無敵を誇るようになったクジラは地球史上最大のシロナガスクジラへと進化していくことになる。
地上ではミアキスから進化したサーベルタイガー類が天下を納めていた。南米ではティラコスミルスという有袋類、北米を中心とする殆どの大陸ではスミロドンと呼ばれる有胎盤類のサーベルタイガーが支配していた。有袋類の進化も古く、実はエオマイアと同時期に有袋類の先祖が生まれていたらしい。有袋類とはお腹の外の袋の中で子育てをする哺乳類の事で胎生ではあるが胎児の状態でお腹の外で子を育てる動物の事である。オーストラリアを中心に約300種の有袋類が暮らしている。有袋類以外に居る珍しい哺乳類が単孔類と呼ばれる卵生の哺乳類で、これはカモノハシなどを指す。有袋類はカンガルーやコアラなどが有名でオーストラリアのいずれの動物も有胎盤類の哺乳類とは似ても似つかない特徴を持つ。ただ、オーストラリア以外の有袋類は有胎盤類と似た特徴を持つ動物が居る。NHKスペシャルの「恐竜VS哺乳類」では、この有袋類でさえも我々有胎盤類のライバルであったとされている。エオマイアが現れた時期から既に哺乳類の分化の歴史は始まっており、恐竜が絶滅した後の世界でも有袋類と有胎盤類はそれぞれ限られた世界で独自の進化を遂げていった。それぞれ似た特徴の動物が現れるのは共通のDNAを持つ為か分からないが、太古の有袋類と有胎盤類から似たような特徴の動物達は生まれていったようだ。有袋類が有胎盤類より劣る理由として挙げられるのが脳容量の差である。有袋類はわずか1ヶ月という短い期間で外の世界へ顔を出す。その為、頭蓋骨の固定化が早く脳容量が限られてしまうというもの。一方の有胎盤類は羊水の中でへその緒を通して約1年間という長い期間、胎盤によって血液の栄養と酸素が送られるのでゆっくり長い時間をかけて柔らかい頭蓋骨の中に脳を巨大化させていく事が出来た。これが哺乳類、有胎盤類が賢い動物であるという証なのだ。有袋類は胎児の状態で常に母親の乳首をずっと吸い続けなければ生きられない。だから、早い時期に外の世界へ誕生する必要性がある。こうして見ると、有胎盤類にデメリットがないように思われるが恐竜が生きていた白亜紀中期。エオマイアが獲得した胎生と有胎盤は危険への賭けでもあった。妊娠する事で子供をお腹の中に保たなければならないので身体が重くなり、振動や激しい動きを与えると流産したり不健康な状態に陥ることになる。
もし、この時に恐竜や恐鳥類などの天敵から逃げる必要が出た場合、それは子供だけでなく、母親自身も危険に晒される試練でもあったのだ。では、何故哺乳類は胎生を身に付ける必要があったのか? それは約2億2000万年前に現れた最古の哺乳類、アデロバシレウスが教えてくれる。ネズミ程の大きさしかなかったアデロバシレウスは先祖の単弓類と同じ卵生のネズミであった。卵生は自らが危険に晒された時、卵を捨てればいいメリットがあった。だが、哺乳類は卵生を諦めた。コエロフィシスのような天敵にすぐに巣穴を発見されて襲われる事が多く、彼等は卵よりも親を餌としていたので卵は潰される事が多かった。そして、餌も昆虫や落ち葉など物凄く限られたものだったので何度も卵を産む余裕が当時の哺乳類には無かった。胎生をする動物は哺乳類以外にも居るが、哺乳類は5鋼の中で唯一殆どの種が胎生を持つ種族だ。危険は胎児と常に一緒という賭けが絆を芽生えさせたのか、哺乳類は5鋼の中で最も団結力が強く、そして集団生活に適した動物に進化していった。恐竜の子孫である鳥類と哺乳類だけ生まれ育った絆の力か、集団生活という物に適応するようになった。その絆の強さこそが新生代というステージで哺乳類と鳥類が生き延びた原因だろうと私は思う。
有袋類は有胎盤類と違い、天敵から素早く逃げられるように子を胎盤ではなく乳で直接育てるスタイルを通した。重い胎盤があるのとないのとではやはり天敵から逃げる速度は変わると思われる。だが、その代りにデメリットも生まれた。脳容量が小さくなり天敵の罠やライバルとの競争に敗北し易くなった事だ。いくら恐鳥類やワニ類から勝利を納めても同じ哺乳類の有胎盤類とは戦っても勝てない部分が一つだけあった。それは知恵比べであろう。ティラコスミルスは大陸移動で孤立していた南米の覇者だったが北米と南米が地続きになった300万年前に北米のスミロドンの進出により絶滅していった。おそらく捕食者としてのニッチを奪われた事が原因と思われる。同じく南米でスカベンジャーとしてひっそり暮らしていた恐鳥類の生き残りも滅んでいった。オーストラリア大陸を中心に有袋類が繁栄しているのは今日まで有袋類を脅かす有胎盤類の大陸進出が無かったためと言われている。だが、オーストラリアに家畜などを持ち込んだ近代に入り、絶滅した有袋類が居る事も事実である。サーベルタイガー類を中心として第三紀時代は食肉目が支配する時代となっていた。
ところが、約1万2000年前にカナダのケベックに隕石が衝突すると北米で暮らしていたメガテリウム、マストドン、ラクダ、スミロドンなどの大型動物が全て絶滅する事になる。また既に約200万年程前から氷河期が訪れており殆どの大型動物は絶滅することとなった。スミロドンも氷河期の到来により姿を消す事になる。氷河期に生き残った動物はオオツノジカやマンモス、現生の哺乳類や人程度で、有名なマンモスもオオツノジカも先史時代の最後の絶滅動物として、氷河期の終わりと共に姿を消すことになる。3メートルを越える陸上性の大型動物が現在アフリカなど一部の地域以外で見られないのは地球環境の酸素濃度の低さとメガファウナと呼ばれる体重44kgを越える大型動物が少ない。よって、肥料となる糞が少ないので土壌に栄養分が行き渡らないので砂漠化が進行して痩せた土地が増え過ぎた。また人類による大型動物の乱獲によって自然に大型動物が出現する条件が困難になった、以上の3点が挙げられると言えよう。氷河期が終わりを迎えるまでの地球の酸素濃度は十分大型動物を排出するものであったが、隕石衝突による地球環境の変化と人類による大型動物の乱獲で大型動物の進化が抑制。また人類が招いた地球環境の改変と大型動物が出現しない事による砂漠化の進行で地球は現在、危機的な状況を迎えている。人類による地球環境の激変は地球温暖化を招くと言われているが、実際は現在は間氷期にあたる時期で、実は温暖化よりも先に氷河期が訪れる可能性の方が極めて高い。中世の時代は現在よりも気温が数度低かったらしく、ヨーロッパでは土壌が痩せこけていたので家畜にどんぐりを与えて家畜の肉で冬を過ごす食文化が当たり前になっていた。白人は肉ばかり食べているからコレステロールが溜まって攻撃的かつ排他的な性格になったと言われるが、それは違う。それを言い出すと食物に溢れた中国はどうなるのか。白人どころかイスラムなどの中東地域や古代中国の残虐性と残酷な歴史を振り返ると白人のみが攻撃的で暴力的な民族だったとは言い切れない。日本も例外ではないだろう。日本が慈悲や慈愛、懺悔を求め出したのは朱子学が導入された江戸時代の頃で人殺しや動物殺しがタブー化され出したのは徳川綱吉の生類憐みの令の頃である。日本人も白人のような侵略戦争は近代に入ってからだが、絶滅動物は白人程ではないがやはり居る事は事実である。日本が大陸的な民族よりも温厚で温暖な性格、気質の持ち主が多いのは主食となる魚にDHAが含まれてる事もあるのであろうが、島国という特性が戦争や侵略行為を控えさせたのではないだろうか。大陸では領土の線引きが難しく常に緊張関係である国々は多い。それは群雄割拠が募るヨーロッパやイスラーム、中国なら尚更であろう。国王自身もそのストレスで精神が疲労していたのであれば、国民も魔女狩りやペストからの猫殺しで神から救いを求めたい気持ちも分かる。より多くの領土の獲得は国王や国民の精神安定剤に繋がった。ヨーロッパはとにかく土壌が痩せこけていたので家畜の肉か小麦程度しか食べ物が無かったので溢れた資源を追い求めたかった。だから、大航海時代での資源獲得はヨーロッパ国家の大プロジェクトだった。塩や香辛料が取れなかったヨーロッパではアジアで手に入る塩や香辛料は貴重な保存原料として欠かせないものだった。アジアとの貿易権を獲得する為にイスラームの王朝と戦う事もあった。それにより、中国とイスラームが起こした戦争で伝わった紙の製造技法や羅針盤、火薬製造などがヨーロッパにもたらされることになった。この3つを世界の三大発明なんていう。日本では戦国時代の頃から作物が実らず、江戸時代では火山噴火などで3度の飢饉に襲われる。戦国時代の到来は室町幕府8代将軍足利義政の後継者争い(応仁の乱:1467年)が発端と言われているが、実際はそれを大義名分としての作物不足からの領土争いが各戦国大名の目的だったのではないか、なんて言われる事もある。本気で幕府復興なんて考えていたのは上杉謙信や武田信玄程度でなかろうか。1万年前に氷河期が終わったと言われているが実は今は地球的には小休止的なもので、氷河期は近未来に再び訪れると予想されている。およそ200万年後の世界では氷河期の世界が到来していて『フューチャー・イズ・ワイルド』という空想科学読本ではネズミの仲間であるげっ歯類がサーベルタイガー的な進化を遂げて優秀なハンターとして脂肪で覆われた哺乳類などを捕食する光景が描かれている。同じく未来を予測した『アフターマン』でも寒い世界が訪れる事は予測されている。中生代やペルム紀のような高温多湿の時代が訪れるのは今から約1億年後や2億年後の世界だと言われている。
現生人類のホモ・サピエンスは約20万年前に出現したと言われている。ホモ・サピエンスの直系の先祖は分からないが我々の先祖はネアンデルタール人と同じ時を過ごしていた。ネアンデルタール人が絶滅した確固たる理由はよく分かっていないが仮説が諸説ある。ネアンデルタール人はホモ・サピエンスよりも容量の多い脳と我々と変わらない文化を持っていたが、彼等は「言葉」を持ち得なかった。故に生存競争に敗北して絶滅したという説が有力とされている。実際にネアンデルタール人の遺跡からホモ・サピエンスの骨が見つかっておりホモ・サピエンスがネアンデルタールの住処を狙って争った証拠だと主張する者も居る。食糧が不足していた数万年前の状況ではホモ・サピエンスが数千程度の人口しか持たなかった過去がDNAの調査結果から判明しているのでホモ・サピエンスがネアンデルタールを食糧として乱獲した結果、絶滅したという説もある。人とDNAレベルが99%近いチンパンジーの主食は木の実以外に猿の肉がある。意外に知られていない事だがチンパンジーは群れで他の猿を襲って食うのだ。いわゆる共食いである。そしてチンパンジーは賢いイメージがあるが人の3倍以上の腕力がある。チンパンジーに毛が生えた程度の知識しかなかった飢えたホモ・サピエンスなら自分達と容姿が似ているネアンデルタール人であっても躊躇なく捕食しているかもしれない。もしかしたら、男は捕食して女は奴隷にしていたのかもしれない。もし、それが事実ならば人類史上初のカニバリズムであり、初の殺人行為であり、初の戦争侵略行為ということになるのだろう。
約12900年前にカナダのケベックに落下した隕石が当時の地球を支配していた大型哺乳類を全て絶滅させた。有名なマストドン、サーベルタイガー、メガテリウム、北米大陸のラクダなどは全て絶滅した。それまでマンモスやオオツノジカなどを狩猟していた人類は農耕と果実の採取に食事パターンを取り入れ生活パターンを変更させたと、ダートマス大学の研究チームが新しい仮説を立てた。恐竜の絶滅ほどではないが、小隕石の落下は当時を生きていた人類と哺乳類の生活に大打撃を与え、約30万年前から始まった氷河期の最中も相まって人類も現生哺乳類も絶滅の危機に陥っていた。隕石の衝突で駆逐された大型動物達以降、陸上で3メートルを越える大型動物は出現しなくなった。その理由を解決する仮説が近年になって発表された。大型動物が出す糞は土壌を肥えさせる肥料となるので大型動物が出現しなくなった土地では砂漠化が進み、生き物が住み難い環境になったというもの。大型動物が餌を獲得することで糞を出してその土地を肥えさせて他の生態系のバランスを維持させる。餌がなくなると大型動物は餌が豊富な土地へ移動する(ttp://www.afpbb.com/articles/-/2961465)。だから、第四紀に入るまでは砂漠化が広がった土地は少なかった。恐竜に代わり、体重44キロを越える大型動物の事をメガファウナと呼ぶ。メガファウナが減少した理由は巨大隕石以外にも考えられる。それは人類による乱獲による絶滅と氷河期の到来であろう。氷河期はおよそ200万年前から始まったと言われる。1万年前にそれが終わり、安定気候に入った。現在の地球環境は間氷期と言われており、これが終わると再び氷河期が訪れると言われている。
約1万年前になると旧人の時代から地球が寒冷化して1年中真冬の状態だった氷河期が終わりを告げて大陸と島を繋ぐ氷が溶けていき現在の大陸が形作られた。日本人の先祖はユーラシア大陸からナウマン象やオオツノジカなどの大型の草食哺乳類を追って日本列島に渡ってきたが氷が溶けたため帰れなくなりそこに定住することになった。これが縄文時代の始まりである。氷河期を代表するマンモスやオオツノジカなどは新第三紀の終盤に現れ始めて氷河期が終わるまで人類との生存競争に晒されていた。氷河期が終わると彼等は環境の変化に耐えられず絶滅していった。マンモスは人類が最初に絶滅させた動物と言われているが氷河期の終わりと共に大型哺乳類は全て絶滅しているので人間が絶滅させたというよりも環境の変化に対応しきれずに自然淘汰されて絶滅してしまったというのが正しいだろう。ちなみに氷河期が到来する第四紀までにサーベルタイガー類やアンドリューサルクス、ダイアウルフ、メガテリウム、ギガントピテクスなどの大型哺乳類も環境の変化や隕石落下の地球環境の激変に耐えられず絶滅している。人類も例外ではなく新人に進化するまでの過程の中で様々な人類19種類が絶滅していったとされている。DNAの調査結果では氷河期の時代に数百程度の人口しか持てなかったという話もあるので人類も1歩間違えたら絶滅していた可能性は高いと言える。この時代の気候は生物にとって実に厳しいもので就職や景気のマイナスイメージの代名詞にも使われる「氷河期」が到来した時代でもある。長い毛で覆われたマンモスやオオツノジカなどは繁栄したが寒さに耐えられない生き物は絶滅していき、氷河期が終わりを告げる1万年前にはマンモス達も環境の変化に耐えきれず絶滅していった。
12900年前の新生代の隕石落下事件により寒冷化に特化した大型哺乳類以外は全て絶滅した。大型哺乳類の高カロリーで生活していた人類の先祖も絶滅の範疇に含まれていた。だが、彼等は大型哺乳類の狩猟生活から新しく果実や植物、菌類の採取と植物を養殖させる農耕という発明を切り拓いた。この頃からである。女が家で子育てと果実の採取などに取り組み、冬を迎えるまでに畑で収穫された野菜や果物を採集するようになったのは。氷河期が終わりを迎えると彼等は更に獲物を捕獲して繁殖させるという技術も編み出した。牧畜である。牧畜の技術を発明した人類は放牧的な生活から定住生活に切り替えて年中、移動しなくても生きていける術を編み出した。その後、約5000年前に人類史上初の文明が拓かれる事になった。世界四大文明の一つ、古代エジブト文明である。ホモ・サピエンス以外の人類が滅びた理由、特にネアンデルタール人と比較すると情報の伝達と知識や技術の共有が欠けていた事が挙げられる。ホモ・サピエンスは声帯を持っていて言葉を発して伝言ゲームのように仲間や家族に確実に情報を伝達させる事が出来たが、ネアンデルタール人は声帯を有していなかった。ネアンデルタール人は野生動物のように鳴き声のパターンで情報を伝達させる事は出来たろうが、彼等は具体的な内容を含めた情報の伝達は言葉を持っていなかったから、出来なかった。言葉という武器を持っていたホモ・サピエンスは親から子へ、孫へ…と世代を越えて情報と世代毎に獲得した情報と技術、発明を伝達させていくことが出来たがネアンデルタール人やホモ・サピエンス以外の人類は一代限りの発明で終わっていった。言葉の進化とコミュニケーションのパターンの変容は実際に目で見て情報を得るという革命も生み出した。ラスコー洞窟に代表される獲物となる大型動物の壁画である。絵の登場は声を使わずとも見る人に情報を伝達させることが出来る革命だった。ホモ・サピエンスは絵以外に文字やジェスチャーなどで言葉を使わなくても情報と知識を共有させる術を次々と編み出していった。その集団化の密が文明というこれまでの生物史に見られなかった新しい旋風を巻き起こす事になったのである。
大型動物が現在生息していない理由として土壌の栄養不足がある。大型の陸上動物が生息していた約1万年前までは土壌が肥えて栄養分が豊富だった。その為、植物が育ち易くそれを餌にする草食動物も肉食動物も容易く大型進化が出来た。ところが大型動物のニッチが2メートル程度までの小型動物に取られるようになると、大型動物は餌不足で飢え死にし、大型動物が出す糞で肥えていた土壌も植物や菌類に満足いく栄養分を与えられなくなった。それによって、陸地の砂漠化が進み現在のような地球環境になったと唱える仮説がある。サーベルタイガーやアンドリューサルクスのような大型の捕食動物はチームで狩りをするオオカミやジャッカル、ライオンなどにニッチを奪われ、衰退して絶滅していった。それは肉食動物に限らなかった。肉食動物が消えれば草食動物の数が増え過ぎて植物の数が減って砂漠化が進み他の動物も餌にあり付けなくなる。そのツケはいずれ大型の草食動物にも回ってくることになる。また、大型動物は環境の変化に弱く、繁殖能力にも乏しい生き物だった。哺乳類は胎生で繁殖力は前時代の覇者だった爬虫類に負ける。繁殖能力の低さ、環境適応能力の低さ、小回りの利く小型動物との生存競争の敗北により大型動物は1万年前から現在までゾウやキリン程度以外を残して全て絶滅した。
類人猿は従来の生物からあまりにもかけ離れた動物だった。表情や行動パターンで仲間とのコミュニケーションを図り、密に連携を取って個ではなく、集団で動く生き物だった。ボノボという猿は♂も♀も関係なくセックスパターンで和平を築く温厚な動物だった。だが、人類は言葉という武器を持ち文明を作り天敵が天災と疫病でしかなくなると、自分達の種そのものが天敵となった。文明の開拓は人類という種の生活を楽にさせたが代わりに時代を下るごとに心や精神というものを病ませて争いしか出来なくなってしまった。人類の欠点は争いだけではなかった。生活の利便性を追求させた科学技術はこれまで共生関係にあった植物や動物にも打撃を与えた。彼等の招いた自然破壊や利己欲の為に約6000種以上の動物が文明発達後から現在までに滅びたと言われている。かつて中生代を支配していた恐竜達は自分の胃袋の満足度を満たす為だけに裸子植物や種子植物を食い荒らした。その結果、ジュラ紀中期に誕生した花や果実を身に付けた被子植物は裸子植物や種子植物しか食べられなかった首長竜や鳥盤類などの恐竜を絶滅に追いやったという仮説がある。白亜紀になるとトリケラトプスのようなコケ類や地面に咲く花を食べられる恐竜も誕生したが恐竜は白亜紀後期にあっては既に衰退状態だった。首長竜などが針葉樹林を食い荒らした結果の餌不足もあるだろうが、生物界に新しく現れた花や果実はジュラ紀に大繁栄を誇った恐竜達の数を減少させていた。ジュラ紀には20メートル級も当たり前だった植物食恐竜は白亜紀になるとトリケラトプスのような9メートル級の恐竜にまで身体のサイズが小さくなった。元々数が減少していた恐竜達は6500万年前の隕石の衝突で完全に絶滅した。だが、花や果実と共生関係にあった哺乳類や昆虫類は生き延びることが出来、哺乳類は次のステージの新生代という時代で主役を飾る事になったのだ。花粉や果実の種を運ぶ事が出来なかった恐竜は花に嫌われ、滅んでいった。だが、彼等の子孫にあたる鳥達は翼という新しい武器で果実の種や花粉を運ぶようになった。ジュラ紀には既に恐竜から進化した鳥が現れていたが嘴を持たない歯の生えた鳥も恐竜と同じく絶滅している。これは今でも謎だが恐らくは花粉を嘴に付けられなかった鳥は恐竜と同じく自然淘汰されていったのかもしれない。歯がないので種を丸呑みに出来る鳥は花に生かされる事になった。花という新しい植物の登場は恐竜や哺乳類、昆虫、鳥という4種類にも渡る生物グループの命運を握る重要な存在だった。
では、花に限らず植物そのものをないがしろにしている人類はどうか。花を食べる事が出来る白亜紀のトリケラトプスは哺乳類や昆虫のように花粉や果実の種を運ぶ事が出来なかったと言われる。彼等に食べられた花が繁殖して勢力を拡大出来なかったとすれば餌不足に陥ったトリケラトプス達が滅ぶのも当たり前なのかもしれない。恐竜が花に追われて絶滅したという仮説は現在ではかなり古い話題で90年代にNHKやテレビ朝日が科学系のテレビ番組でそれを流した際にとあるサイエンスライターが憤怒したと言われる。当時でも物議を醸していたこの仮説は現在ではトンデモ学説と言われている。だが、恐竜の種類が白亜紀に既に減少傾向だったのは曲がりもない事実である。被子植物がジュラ紀に誕生したのには理由がある。一つは大型の草食恐竜が背の高い針葉樹林を全て食べ尽くした事である。そこで植物も毒を身に着けて防衛策を取った。だが、動物の適応能力は凄まじく最初は毒だった果実や花も恐竜ですら克服している。だから、被子植物は毒で防衛策を取ることを諦め、子孫を残す為に花粉や果実の種を動物に運んでもらう共生関係に打って出た。恐竜もおそらくその運搬役は出来ていただろうが身体が巨体過ぎて花の繁殖能力が追い付かず、ジュラ紀のように餌不足となって種類が減って衰退せざるを得なかったのかもしれない。花は他の植物に比べて繁殖力が高くない。だから、昆虫や風、小型動物を利用して広い地域まで子孫を残す本能があるのだ。いずれにせよ隕石の衝突があろうがなかろうが恐竜は絶滅していただろうと思われる。よく成功した生物種と言われる恐竜だが白亜紀での種類の減り方具合を見ると、どの道哺乳類に主役の座を取って代わられ、恐鳥類のように哺乳類に追い詰められて絶滅していたと思われる。NHKの某番組がいう花に追われた恐竜は実は花ではなく、哺乳類に追い詰められていたのではないかと思われる。恐竜は隕石衝突後もわずかな種(アラモサウルス)が生き延びたがやはり新生代の初期中には滅んでいる。恐竜の卵が哺乳類の餌にされていた為か肉食恐竜が居なかった為か環境の変化に着いていけなかったのかは分からないが隕石衝突後の時代で生き延びてもやはり滅んでいるところを見ると隕石衝突がなければ本当に恐竜は絶滅しなかったのか分からない。
>人類の進化について
Wikipediaに専門項目があるので、そっちの方が詳しいとは思うが、一応説明してみる。
まず、中生代の白亜紀段階には既に猿のような霊長類の動物が存在したらしい。プレシアダプス目と呼ばれるその猿は偽霊長類だとか真霊長類だとか言われているが、白亜紀の大量絶滅時に犬猫程度の大きさの哺乳類と共に絶滅している。白亜紀段階では哺乳類は放散進化に成功していて、狼やカワウソに似た生態を持った哺乳類も居たらしい。そういう哺乳類を現生哺乳類と区別して哺乳形態とも言うらしい。
~らしい、と言うのはWikipediaやネット上の情報しかないので、確定した事実には遠いと言う事である。ちなみにアデロバシレウスも存在そのものを確実に認められている訳じゃない。
約5500万年前にはネズミのような哺乳類しか生き残っていなかったが、既にアジア大陸では放散進化に成功している種も存在したようで、ノタルタクスと呼ばれる霊長類が誕生している。
アジア大陸では既にキツネザルのような動物に進化していた訳だが、この動物に進化するまでの過程はよく分かっていない。進化系統樹から逆算していくと、ウサギやハツカネズミに近い真獣類というグループに進化したと推測されている。おそらくウサギに近い動物は約6000万年前時点には存在したと思われる。
ウサギに近い動物が進化した先がツパイ目と呼ばれるネズミに近い動物である。ツパイは東南アジアのジャングルなどに住んでいる珍しい動物で、耳が人間の耳と似ており、霊長類の先祖だと考えられている。彼等は昆虫や果実、小動物などを主食にしていた。スマートな体型で巨大な敵から逃げやすい見た目をしていた。
次に分岐進化したのがヒヨケザル目などのムササビに近い動物で、このヒヨケザルは滑空が可能で樹木を自由自在に飛ぶ事が出来た動物だと考えられている。この動物についての推測は管理人の憶測に過ぎません。
そして、次に出現したのがガラゴ属やスローロリスなどの原始的な猿だと思われる。ノタルタクスは体長が15㎝ほどあるらしいので、ノタルタクスに至るまでにガラゴ属やオポッサムなどの猿の進化は経由してると思われる。
最後にノタルタクスへの進化だと思われる。ノタルタクスはキツネザルに近い動物だったようで、体長が15~30cmほどあるが、この動物に至るまでの進化経路はよく分かっていない。かつてはコウモリやモグラが猿に進化したと考えられていたが、現在の進化系統樹ではウサギ目とサル目が近縁に近い事が分かってきてる。
ノタルタクスはプレシアダプス目と似たような形態をしていたらしいので、収斂進化に依る物だと思われる。両者の見た目は同じだが、実際の生態には多数の違いがあったと思われる。
霊長類が登場してからは旧世界猿、新世界猿、曲鼻猿亜目、直鼻猿亜目などの4種類の猿に分岐進化していった。このように尾のある猿の事を「原猿類」と呼ぶ。この時に現れた動物がエジプトピテクスと呼ばれるアフリカ原産の猿だったそうだが、化石が完全に発見されていないし、情報が少な過ぎるので先祖だとは確実に呼べない。この猿の登場が約4000万年前の事だった。
この時期に大規模な洪水がアジア・ヨーロッパ大陸で起こり、多くの猿達が絶滅したと考えられているが、定かではない。
ちなみにこの時期はヒマラヤ山脈が形成され始めてインド大陸の移動が完遂した時代だったので、ヒマラヤ山脈の形成で大雨が降って洪水が発生したとも考えられる。4種類の猿が突如出現した原因の一つだとも考えられる。
約3000万年前には『地球大進化』の第5集で取り上げていた色覚の復活が行われた。元々、哺乳類以外の脊椎動物は4タイプの色覚範囲を持っていたらしいが、哺乳類は中生代時点では夜行性だった為に色覚が2タイプまで退化していたらしい。そこで樹上生活を営んでいた一部の猿がビタミンCを摂取する為に果実と色の付いた葉っぱを認識する為に3タイプの色覚を持つように視神経を進化させたらしい。果実でビタミンCを補えるようになったので、臓器から分泌される元素も変化したらしい。その為、我々の身体は尿酸が溜まり易い身体になってしまったらしい。
元々、果実を取る必要のない猿はビタミンCを自分で作り出す製造機関の臓器があったらしいが、果実でビタミンCを摂取するようになった猿は従来の臓器の製造機関を変化させて一部の病気に対抗出来ない分泌液を体内で作り出すようになったそうだ。
3タイプの色覚というのはいわゆる立体視の事で遠近法などの見方が出来る状態になり、奥行きが判別できるようになった成果があった。立体視はティラノサウルスも出来たと言われているが、哺乳類以外の動物は4タイプの色覚を持っており、肉食動物は広い範囲で景色を見渡せるので哺乳類より恐竜の視神経の方が優秀なのは当たり前な気もする。
約2800万年前にはプロコンスルが出現した。プロコンスルとは真猿類の先祖にあたる動物で、この動物には尻尾が無かったと言われている。『生命40億年』でも取り上げられた人類の先祖だが、確定的な物的証拠が不十分で本当に人類の先祖かどうかは未だに断定されていない。
プロコンスルの登場以降は樹上生活に最適化したテナガザル科やオナガザル科と分岐していった。プロコンスルは巨大な猿で樹上生活にはあまり適していなかったとも言われる。テナガザルが現れた事で手と足が分離して手の役目を明確に持たせる事が出来るようになった。物を掴む握力が上がったのはテナガザルの頃からである。
約2800万年前には南極大陸が孤立化して温暖な気候と偏西風が行き渡らないようになって、南極に氷床が作られるようになったと言われている。分かり易く言うと、エアコンの温風が一つの部屋だけに行き渡らない状態になった。
南極付近ではバシロサウルスやシャチなどがメガロドンや海生のワニ類を駆逐した後で、彼等は南極の生態系の頂点に立っていった。あと、この時期には体長2メートルを越える巨大なペンギンも生息していたらしい。
約1000万年前にはゴリラ族とヒトが分岐するようになったと言われている。ギガントピテクスが出現するのもこの頃からである。ちなみにギガントピテクスの絶滅理由は人による狩猟とパンダとの生存競争の敗北が原因と言われている。約1000万年前にはアフリカでグレートリフトバレーが大地溝帯で出来るようになり、猿にとっての楽園と呼べるジャングルが切り拓かれた。
約700万年前にはトゥーマイ猿人が出現したと言われている。人類の明確な先祖かどうかは不明だが、この頃にはチンパンジー属とヒト族の分化が始まっている。
チンパンジーは凶暴かつ冷酷な性格で知られる危険な動物だが、チンパンジーの子供は大人しく理性的な生態をしているらしい。チンパンジーの子供の頭蓋骨と現生人類の頭蓋骨はそっくりである。研究者の中には幼生の状態のままで大人化した動物が進化の一つの形態ではないか? と唱えてる者も居る。かつてはホヤの幼生がナメクジウオとそっくりだったので、ピカイアの起源はホヤの幼生がそのまま大人になって進化したものではないか? と考えられていたが、現在はピカイアそのものが先祖と考えられなくなったので、ホヤの場合は幼生状態の進化に当てはまらない。
おそらくチンパンジーの子供の骨格のまま成長した大人が子孫を残した結果が人類の先祖だと思われる。チンパンジーとヒトの先祖はそれぞれ別物だが、先祖がチンパンジーの姿に似ている事は明らかである。
チンパンジー属にはボノボと呼ばれる大人しい猿も含まれているが、現生人類はチンパンジーとボノボの両方の特徴を兼ね備えてると言える。
ボノボは年中発情期の状態で、同性愛と同性SEXもある生き物だとされる。現生人類も発情期が存在せず、同性愛を持つ動物で、おすそ分けや社会性の強い動物なので、チンパンジーの特徴も持つが、ボノボのような温和な特徴も兼ねている珍しい動物だと言える。
約400万年前にはアウストラロピテクス・アファレンシスが現れる。彼等は体長140cmほどしかなかったが、上半身は人類そのものだったと言われている。
アウストラロピテクスは脳容量が500?程度しかなかったが、直立二足歩行と道具の使用が可能だった。見た目はチンパンジーに似ているが、頭蓋骨の特徴はチンパンジーの子供そのままだった。
理性を抑える事に成功した結果に猿人への進化の道が切り拓かれたのかもしれない。アウストラロピテクスはチンパンジーと違って、同族を殺したり餌を奪い合う事は無かったとされる。その後の原人は多様進化する中で同族を食い殺す種族も居たらしいが、絶滅していった。
チンパンジーの子供は子供の頃は凶暴ではなく、好奇心旺盛で誰にでも懐き易い動物らしいが、大人になると人間でさえも食い殺す凶暴な性格に変化する。しかも、チンパンジーの大人が食い殺す相手は他の猿や動物に限らず、同族でさえも食い殺すと言われている。
チンパンジーは集団で他の動物を弱らせてから、遊びまくって食い殺すと言われている。しかも、相手を食い殺す時は相手が生きたままバラバラに引き裂いて骨や皮ごと食うとも言われている。
チンパンジーが何故動物や弱い生き物を弱らせて、遊びまくった後でバラバラにして食うのかは不明だが、人間の闘争本能を具現化した存在とも呼べるのではないだろうか?
案外、チンパンジーの生態そのものが人間の闘争本能や残酷性の原因なのかもしれない・・・・。
約250万年前にはホモ・ハビリスが出現して、ヒト属が確立されるようになった。人類と呼ばれる存在は原人が出現してからになる。その後、約19種類の人類が出現したが、約7万年前のトバ事変でネアンデルタール人とホモ・サピエンス以外が絶滅した。
ホモ・サピエンスは20万年前に出現したが、約7万年前のトバ火山の噴火活動により、約1万人にまで人口が減少した。
その後、ボトルネック効果により遺伝的多様性が失われて、人類はありとあらゆる病原菌と災害に対処出来なくなったと言われている。約6000年前から知性の劣化が始まっている事を指摘する学者も居るが、これは生命的危機が訪れなくなり、脳を活用する事が減ったからという説である。
ホモ・サピエンスは現代に至るまでにネアンデルタール人と交流して約1~4%の遺伝子を混血させる事に成功した。
その後、約5万年前にクロマニョン人が現れて、約3万年前にはアメリカ大陸と東南アジアの島々へ移住を始めた。こうして、人種がコーカソイド(白人)とネグロイド(黒人)とモンゴロイド(黄色人種)に分化した。
但し、ネグロイドのみはネアンデルタール人の遺伝子を受け継いでいないとされている。これは彼等がアフリカから出なかった為だと言われている。
約1万年前には氷河期が終わり、人類史が始まっていった。狩猟採集生活から農耕牧畜革命を起こす事が可能となり、生活に余裕が出たので国家と文明が誕生していった。家畜や栽培を始めるようになったのはこの頃からである。
紀元前2000年頃には金属精製や車輪などの発明により戦争が可能となり、人類史と同時に戦争の歴史が始まった。武器やテクノロジーの幕開けは戦争の始まりだとも呼べる。原始的な戦争の動機は未だに不明だが、おそらくは不作続きによる食糧不足から来る争いが原因だと思われる。
ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが本当に共存出来ていたのかは不明だが、トバ事変以降に戦争を行ったり人肉を貪る行為に及んでいたとしても、現生人類は繁殖出来なかったと思われる。
その理由は人肉ばかりを食べると、クールー病などの病気にかかり、子孫を残せなくなってしまうからだ。ホモ・サピエンスがトバ事変以降に食糧危機に陥ったとしてもネアンデルタール人を狩って食うことはなかったと思われる。
そもそも戦争をする気力があるとも思えないし、ネアンデルタール人の食糧を奪うとしてもネアンデルタールよりも食糧確保の技術が上だったホモ・サピエンスがネアンデルタールから食料を奪うとは考えにくい。
ホモ・サピエンスが何らかの手段で食料を確保するようになって、ネアンデルタールから女子供を人身売買していたというのが筋な考え方な気もする。
ちなみに人類が被服を着用するようになったのは、約7万年前のトバ事変からだとも言われている。トバ事変以降に氷河期のピークだったヴェルヌ氷期と呼ばれる厳しい寒波がヨーロッパを襲い、それから約3万年前にネアンデルタール人が絶滅していった。
アジア大陸まで移住していたホモ・サピエンスは生き残ったが、ヨーロッパ地域だけに定住していたネアンデルタール人は寒さと餌不足で絶滅せざるを得なかった。
ヨーロッパ地域に生息していたホモ・サピエンスがどうやって生き延びたのかはよく分からないが、ネアンデルタールよりも確立した狩猟採集で餌を確保していた事は確かだろう。