ディアトリマのような恐鳥類が哺乳類に敗北した理由はいくつかある。哺乳類は肉歯目の段階から群れというチームワークで狩りを行うスタイルを取っていた。一個体一個体は弱くて小さくとも集団で襲いかかれば巨大な獲物も確実に仕留められる。同じ理由で中生代に繁栄していた大型のホオジロザメであるメガロドンはシャチとクジラの集団狩りと氷河期によって食物連鎖のニッチを奪われて絶滅していきました。
 また草食性の哺乳類も鎧のようなもので防衛したり足の瞬発力を高めて早く逃げる事に重点を置いたので巨大で鈍足なディアトリマではアジア大陸で確実な進化を遂げた馬などの哺乳類を仕留める事は出来なかった。当時のアジア大陸は海峡と氷河地帯に覆われていたが、メタンハイドレードによる温室効果ガスの地球温暖化現象で氷河が溶けてアジアと他大陸の横断も可能になったとされている。
彼等に獲物を取られた恐鳥類は彼らが生息していない南アメリカ大陸でひっそりと暮らしていたが約40万年前にサーベルタイガー類などが大陸大移動で南アメリカ大陸に移住し始めるとその大陸のニッチも奪われて完全にグループとして絶滅した。恐鳥類は自分から草食動物を襲う捕食者だったが、スミロドンのようなサーベルタイガー類に捕食者の座を奪われ、初期の人類と同じスカベンジャー(腐食者)としてサーベルタイガー類が食い残した残飯を漁っていたようです。現在の動物界で言うと、ハイエナと同じポジションですね。ただ、3メートル近くもある巨大な鳥だったので食い残しでは流石に腹が満腹することもなかったようで南北アメリカ大陸にも移住してきたサーベルタイガー類やオオカミ、ジャッカル、ワシなどの捕食者達との生存競争に完全に敗れ地球上から姿を消していきました。
新生代古第三紀時代の補足。実は過去のNHKスペシャル『哺乳類VS恐竜』で新生代第三紀時代に哺乳類の天敵として取り上げられてた奴が居たみたいです。Wikipediaより個人サイトの方がイラストと細かい生態を紹介してるようです。古第三紀時代の初期は哺乳類がまだ犬猫ぐらいのサイズで環境適応した進化をしていない時代でした。この時代ではアジア大陸以外に恐鳥類と呼ばれる獰猛な肉食性の陸上鳥類が食物連鎖の頂点に居ました。哺乳類はヒラコテリウムのような犬猫サイズの馬の祖先のような動物などにわずかながら多様な進化を遂げていましたが、アジア大陸でヒエノドンのような肉歯目が勢力を伸ばすまで恐鳥類に駆逐され続ける日々を送っていました。

 実はこの時代の食物連鎖の頂点に君臨していたのは恐鳥類だけじゃなかったようです。それはプリスティカンプヌス。白亜紀後期に現れた3メートル程ある巨大なワニです。彼等は新生代の初期にも生存していたので化石が発見された当時は恐竜の生き残りと思われていたようです。「恐竜の生き残り」、ある意味白亜紀から生きてきた彼等はその言葉が正しくも思える。彼等は通常のワニと生態が異なっていて完全に陸上に適応した獰猛な肉食性のワニだった。噂ですが、二足歩行も可能だったらしいです。普通のワニは短足でガニ股のような歩き方ですが彼等の足は長くて動きも活発だったようです。古生物専門の個人サイトのイラストを閲覧すれば分かりますが、現存するワニとだいぶ違った外見を持ったワニのようでワニの癖に蹄があって膝を曲げられそうな関節まであるという奇妙なワニです。約1億年前頃から我々哺乳類の先祖はこういう動物との生存競争も強いられてきた歴史があったようです。通常のワニより獲物に執着する食性のようで一度狙ったターゲットは捕食するまで追いかけ続けるという最悪な行動パターンを持つ動物だったようですね。肉歯目のような肉食性哺乳類の登場と馬などの草食性哺乳類が防御本能を極限状態まで高めた進化を遂げると恐鳥類と同じく哺乳類を餌にしていたプリスティカンプヌスも生存競争に敗北して絶滅していったようです。まぁ、あだ名は「足長ワニさん」で決まりだろ。恐竜の残党と呼ばれる恐鳥類と恐竜と共に白亜紀から生きてきてあの大量絶滅を生き延びた足長ワニさんはどちらも先祖のルーツを辿ると双弓類と呼ばれる小さなトカゲから進化しました。その双弓類と対になる動物が単弓類で哺乳類の先祖でした。単弓類は爬虫類のような外見と卵生でしたが哺乳類のような特徴を持つ共通点が多い動物だったので哺乳類型爬虫類とも呼ばれる。単弓類の先祖も双弓類とよく似た原始的なトカゲだったようです。この2種類のグループが爬虫類と哺乳類へ進化していくことになり約3億年の歴史の対決のドラマが繰り広げられた。この2種類のグループのルーツを更に遡ると無弓類というグループに行き着き、それより前のグループは有羊膜類と呼ばれるグループになる。この有羊膜類こそ単弓類と双弓類の先祖になり初期の有羊膜類はトカゲのような姿をしていて地球史上初めて堅い殻に覆われた乾燥に強い卵を産むようになったと言われている。まぁ、爬虫類と哺乳類はライバル同士の関係でしたが元を辿ると兄弟な訳です。と言っても、亀やら蛇、鳥類とはあんまり関係ない感じだったりしますけどね。約3億年前のペルム紀は単弓類の天下だった。だが、約2億年前からは双弓類から分岐進化した爬虫類と恐竜が中生代という大きな時代区分を支配した。約6500万年前からは恐竜から進化した恐鳥類と白亜紀を生き延びたワニのような爬虫類が哺乳類を駆逐して約5500万年前にアジア大陸から息を潜めていた肉歯目が古代ワニや恐鳥類を生存競争で絶滅に追い込み、ミアキスから進化した食肉目の犬科やネコ科の動物が肉歯目とメソニクス目からニッチを奪い彼等を絶滅に追い込んだ。ニッチを奪われた一部のメソニクス目は淡水地域でカバやイルカに進化していき、海へ潜ったグループはクジラへ進化していった。氷河期が訪れる完新世までに大型の動物は哺乳類鳥類を問わず絶滅していき、霊長類はカトピテクスからトゥーマイ猿人へ600万年前に進化を遂げてアウストラロピテクス・アフリカヌスへ至る。
しかし、陸上に特化したワニとか怖過ぎる・・・・・・・そういや、1万年前の日本にも虎やらワニが生存してたようで田舎の博物館にもその化石が展示されているようですね。まぁ、貴方ならどっちがいいですかね? 俊敏な恐鳥類と獰猛なプリスティカンプヌス・・・・・・・まぁ、古第三紀の時代が終わっても霊長類の先祖は肉歯目のヒエノドンやメソニクス目のアンドリューサルクス、食肉目のサーベルタイガーやダイアウルフなどの肉食性哺乳類達から逃げる日々を強いられ続けました。


>ダエオドンについて
 実は古第三紀には獰猛な雑食性のスカベンジャー(腐食者)も居たそうです。その名はダエオドン。猪や豚との共通先祖を持つこの巨大な豚は体長約3メートルを超える獰猛な猪だったそうです。彼らが通った道にはペンペン草は生えないどころか、通る道の動物は骨でさえもロクに残さないとか言われています。豚や猪は目が見えない悪食なので、とりあえず目の前にある植物と動物はなんでも食べていたそうです。しかも、ダエオドンは体長が3メートルを超えるので、健康な動物が目の前に居ても自分より小さい動物なら襲って食ってたらしいですね。『エデンの檻』という漫画にも出てきたこの動物はヒエノドンはおろか、人間でさえも恐れられて襲われていました。おまけに性格は獰猛で短気というどうしようもない性格で、たとえ自分より身体が大きい相手にも臆せず襲ってきたそうです。新生代の動物はこのように植物食やスカベンジャーでさえも肉食性より危険な動物が数多く揃っているみたいです。哺乳類だから、無駄に頭が良くて小回り利くんでしょうね。しかも、体長は3メートル越がデフォですしね。



<歴史を動画で知るシリーズ:時代一覧>
・冥王代→始生代→原生代→エディアカラ紀→古生代→カンブリア紀→オルドビス紀→シルル紀→デボン紀→石炭紀→ペルム紀→中生代→三畳紀→ジュラ紀→白亜紀→新生代→古第三紀→暁新世→始新世→漸新世→新第三紀→中新世→鮮新世→第四紀→更新世→完新世→人新世→紀元前の世界→縄文時代→弥生時代→古墳時代→飛鳥時代→奈良時代→平安時代→鎌倉時代→南北朝時代→室町時代→戦国時代→織豊時代→江戸時代→幕末→明治時代→大正時代→昭和時代→平成時代→未来世界
<各時代の歴史的な特徴>
・冥王代・・・・・・・・・・・宇宙誕生、地球誕生、地殻と海の形成、原生生物の誕生
・始生代・・・・・・・・・ストロマトライトの形成、古細菌と細菌、藍藻類の登場、隕石落下に伴う海洋蒸発による絶滅イベント、地球史上最大の酸素多量環境の実現
・原生代・・・・・・・・・オゾン層の形成、真核生物の誕生、地球最古の多細胞生物の誕生、エディアカラ動物群、2度のスノーボール・アース(全球凍結)
・カンブリア紀・・・・・・・・・バージェス動物群(最古の無脊椎動物)、最古の脊椎動物(ハイコウイクチスなど)の登場
・オルドビス紀・・・・・・・・・・・・軟体動物の時代、顎を持つ魚類の登場、地球最初の大量絶滅(当時の生命の85%が絶滅、大陸氷河の変化による海水準の大幅な上昇と低下が原因か)
・シルル紀・・・・・・・・・・・植物(クックソニア)の上陸、昆虫の誕生、大陸大移動(大合体)
・デボン紀・・・・・・・・・・・魚の時代、多種多様な魚類が誕生する、硬骨魚類と両生類の誕生、昆虫の上陸、サメの出現、環境激変による大量絶滅(海洋生命の82%が絶滅、板皮類のダンクレオレステスも絶滅)、大陸大移動によって形成された川辺への進出が硬骨魚類を肺魚へと進化させ、両生類の誕生に繋がった
・石炭紀・・・・・・・・・・・・・シダ植物の形成、両生類と昆虫類の激闘の時代、有羊膜類、無弓類、単弓類、双弓類の誕生
・ペルム紀・・・・・・・・・・・・・単弓類の時代、裸子植物の出現、パンゲア大陸の形成、古生代最大のイベント「スーパープルーム」(ペルム紀末の大量絶滅)によって当時の生命96%が絶滅。原因は大陸大移動で形成されたパンゲア大陸の地下深くのマントルによる火山活動の活発化とそれに伴うメタンハイドレードによる温室効果ガスで出来た二酸化炭素増加環境が酸素10%台の低酸素環境に繋げたから
・三畳紀・・・・・・・・・・・・・・・中生代の最初の時代、中生代は爬虫類の時代。爬虫類から恐竜に進化した、単弓類から哺乳類が誕生、三畳紀の大量絶滅(火山活動の活発化)、ラプトル系の小型恐竜(獣脚目)エオラプトルや大型両生類、単弓類の生き残りキノドン類などの時代
・ジュラ紀・・・・・・・・・・・・・・獣弓類の絶滅、裸子植物の繁栄に伴う竜盤類と鳥盤類の繁栄。アロサウルス、ブラキオサウルス、ステゴサウルスなどが登場。イクチオサウルスのような海洋爬虫類やアンモナイト、大型爬虫類なども栄えた。始祖鳥の出現
・白亜紀・・・・・・・・・・・・被子植物の出現、ティラノサウルスやトリケラトプス、プテラノドンなどが登場、恐竜が鳥類への進化、哺乳類が胎生を手に入れ有袋類と有胎盤類へ分化進化、モササウルスやプレシオサウルスのような首長竜などが海を支配、白亜紀の大量絶滅(巨大隕石が地球に落下して当時の生命の70%が絶滅しアラモサウルスなどの一部の恐竜を除き恐竜というグループ自体が絶滅した)
・暁新世・・・・・・・・・・・新生代古第三紀の最初の世(時代)。パンゲア大陸の分裂、恐鳥類や陸上性のワニ類による地上支配、哺乳類と魚類の多種多様な進化、被子植物の繁栄
・始新世・・・・・・・・・・約5500万年前から。地球温暖化、新生代で最も暑い時代。南極大陸が南米とオーストラリアから分離、肉歯目とメソニクス目の地上支配、有孔虫類と二枚貝類の繁栄、馬目とクジラ類の劇的な進化、広葉樹が広がり原猿類が出現
・漸新世・・・・・・・・・約3400万年前から。気候の乱れ、アルプスとヒマラヤ山脈の形成、インドリコテリウムのような大型哺乳類の登場、哺乳類は大型化していった。食肉目の地上支配、真猿類の出現
・中新世・・・・・・・・・・新生代新第三紀時代の最初の時代、約2300万年前から。北南米大陸の分化、ロッキー山脈とアルプス山脈の形成、日本がユーラシア大陸から分離、南極大陸が氷の大陸に変化、オーストラリアと南アメリカ大陸のみ孤立しているので動物相が他の大陸と違う。現生動物が既に存在していた。霊長類はカトピテクスという真猿類からトゥーマイ猿人へ600万年前に進化していた。
・鮮新世・・・・・・・・・・・約500万年前から。地球寒冷化、アウストラロピテクスなどの類人猿の出現、南北米大陸の陸地が繋がり北米大陸の生物の往来で南米大陸の動植物は絶滅していった
・更新世・・・・・・・・・・・・・新生代第四紀の最初の時代、約258万年前から。氷床の海水準運動により浅い海は氷床と化して陸地だった、ヒト属が原人へ進化(ネアンデルタール人やホモ・エレクトゥスなど)、サーベルタイガー類やダイアウルフなど新生代を代表する食肉目が生存競争に敗れて絶滅していく
・完新世・・・・・・・・・・・・・地質時代的には約1万年前から近未来まで含む現代の時代。人類史的には有史時代で紀元前の世界に突入している。鮮新世から続いた氷河期が終結し温暖化へ向かっていった。現生人類のホモ・サピエンスは約20万年前に突如出現、約20種に及ぶ人類の中で唯一生き残った種類だった。氷河期の終わりと共に寒冷化に特化したマンモスやオオツノジカなどは環境の変化に着いていけず絶滅する。人類は約8000年前に農耕と牧畜を発明し定住生活を行うようにライフスタイルを変化させた。紀元前5000年頃には四大文明を築いた。その後の歴史は日本史と世界史になっていく。日本では温暖化により日本列島と朝鮮半島を結んでいた氷河が溶けて狩猟民族だった縄文人が定住するようになった。弥生時代に入るまで日本は新石器時代のような生活だった。
・人新世(アントロポセン)・・・・・・・・・・・・2000年代に提唱された人類が地上を支配するようになった事を意味する地質時代。具体的な時代指定は産業革命が起こった18世紀頃からとされているが、個人的には1万年前頃からがしっくり来る。その名の通り、人類が地球を支配した時代だが18世紀以降に限定したのには意味がある。産業革命以降の科学技術の発達による地球環境と生態系への影響は計り知れない。科学に依存し地球環境を激変させつつある人類に警鐘の意味を込めてこの地質時代名を提唱した科学者は名付けたらしい。ちなみに科学技術に依存する前から人類は様々な動植物を絶滅に追いやったとされている。有名な動物にはブルーバックやオーロックス、モアやドードー、ステラーダイカイギュウやオオウミガラス、リョコウバトなどが居る。これらの動物はいずれも人類(主に白色人種)が娯楽や趣味、ビジネスや科学的探究心で乱獲・狩猟に陥れ絶滅に追い込んだとされる有名な動物達である。太古にはマンモスやオオツノジカも人類の乱獲が原因で絶滅したと言われていたが最近は氷河期の終わりによる環境の変化に着いていけずに絶滅した自然淘汰説が正しいらしい。ただ、一部の絶滅動物は品種改良による家畜化で復活している。オーロックスは小柄ながらも1920年代にナチスドイツが現存する牛を交配させていった結果復活させられた。DNA的に正確なのかどうかは分からんが。これらの動物やマンモスは完全なDNAが残っていればクローン技術で復活するから、と主張する安直な人間も居るがそういう問題じゃないだろう。ちなみに人類による絶滅は今でも続いている。日本ではニホンアシカ、ニホンカワウソ、ニホンオオカミが人の手で絶滅して生態系が変化した為に外来種を入れたがさらに悪化したという事態を招いている。人類によって絶滅させられた種は自然淘汰で絶滅した全ての種を含めて90%を越えるらしい。ちなみに現在は両生類そのものが絶滅危惧種になっている。ただ、シーラカンスのような生きた化石と呼ばれる動物の再発見があるように人の手で絶滅したと思われていた動物が再発見された例もいくつかある。未確認動物UMAと呼ばれている動物種にも絶滅動物が紛れてるかもしれない。かつて100年前はゴリラやパンダもUMA・・・・・・・・・いわゆる神話や伝説で語られる幻獣だったとされていた。この地質時代名が定着するのはいつになるのか分からないがおそらく人類絶滅後の新たな知的生命体もしくは人類が衰退したニッチを奪ったロボットや宇宙人がこの用語を地層から発見して広めるのだろうか。
・未来世界・・・・・・・未来を描いたSF作品は様々あるが、哺乳類が衰退した後の時代をどの動物が支配するかを描いたSFはあまりない。最近ではドゥーガル・ディクソン著の『フューチャー・イズ・ワイルド』で人や猿に代わりイカが支配している未来地球が描かれた。『アフターマン』では鳥類が知的進化を遂げている。多くのSFでは未来の世界はロボットや宇宙人が地球を支配しているケースが多いが数億年後先の未来を現存する動物グループのどれが支配するかはあまり語られない。私の予想では爬虫類と哺乳類は3億年前の時代から進化と衰退を繰り返し王者の座を代わりばんこに奪っている。これまでの歴史を振り返ると単弓類→恐竜と爬虫類→恐鳥類とワニ類→哺乳類という具合にペルム紀から現在に至るまで哺乳類は爬虫類(双弓類)から進化を遂げた鳥類と恐竜、ワニ類などと熾烈な生存競争を強いられ続けた。単弓類の繁栄から衰亡を遂げて哺乳類は約5500万年前にようやく爬虫類の末裔から天下を奪い返したが未来でも哺乳類の栄華が続くとは限らないだろう。人類の天下もそうだが哺乳類の天下も長くはないのだ。では哺乳類や人類が衰亡した後に天下を取る動物は誰なのだろうか? それはおそらく鳥類だろう。鳥類は哺乳類に次いで頭が良い動物で先祖の恐竜からの贈り物である骨盤や気嚢システムを自在に使いこなす空の支配者だ。彼等が人類のような知的生命体に進化するかどうかは分からないがおそらく動物分類学上鳥類から分岐進化した新たなグループが地上を支配するのだろう。鳥類や哺乳類は数億年後には毛というものが無くなっているだろう。おそらく哺乳類は乾燥化した大地に対応する為に皮下脂肪を蓄えて皮膚を分厚く伸縮性の強いものに進化させるだろう。鳥類はおそらく歯を復活させて嘴を鉤爪のように進化させて爬虫類のような硬い鱗の皮膚で覆われ翼はコウモリのような進化を遂げるだろう。そう、ファンタジー世界に出てくるようなドラゴンの姿へ進化するだろう。地中で生活せざるを得なくなった哺乳類の子孫はおそらく鳥類の子孫に掘り返されて捕食される運命だろう。
新生代そのものは氷河期のイメージで寒い時代と思われがちだが四季があり第四紀が到来するまでは比較的温暖な時代だったらしい。ちなみに中生代は年中真夏日だったらしいです。二酸化炭素濃度が今より20%程高いのもあるんでしょうけど。まぁ、それでも中生代の頃に比べたら気温がだいぶ下がって少し肌寒い気候だったらしいけど。季節的には春や秋のイメージを思い浮かべたらいいんじゃないかと思う。また氷河期は地球史的にはまだまだ序の口のレベルらしく地球全体が氷に包まれた6億年前と22億年前の全球凍結(スノーボール・アース)に比べたら遙かにマシらしいです。
新生代の時代設定については大まかに3紀に分かれます。古第三紀、新第三紀、第四紀の3つの時代。更に3紀の時代には約8つの世に分類されており地球環境の当時の変化によって分けてるようです。つまり、新生代の時代は地質学的に一番新しい地層なので当時の地球環境の変化についての情報も詳細に分かってるということなんでしょう。新生代の3紀の名前の由来は古生代や中生代のように発見場所から名付けられてる訳ではありません。名前の由来は18世紀のイタリアの地質学者ジョバンニ・アルドゥイノに縁ります。彼は地層の時代を大まかに3つに分類しました。化石が殆ど出ない地層の第一紀時代(宇宙誕生から原生代)、現在の動物界に見られない化石が眠っている地層の第二紀時代(古生代と中生代)、現生の動物の先祖が見られる化石が埋まっている第三紀時代(新生代)、そして人類が霊長類から進化した第四紀時代。第一紀時代は先カンブリア時代の事、第二紀時代は古生代と中生代、第三紀時代はそのまま新生代初期の時代(新生代古第三紀、新第三紀)、第四紀は400万年前頃から現在を指し示します。当時はキリスト教による世界観の支配も強かったのでキリスト教の教会や団体からの批判を逃れるために聖書に合うように時代を合わせたのかな、という感じもします。聖書の世界では第一紀の時代がアダムとイブのエデンの園からノアの大洪水の起こるまでの時代、第二紀の時代はノアの大洪水が起こった時代、第三紀はノアの息子達が戦争を始めて神が激怒して普通の人間として地上で農作業に従事するようになった時代、第四紀はイエス・キリストが誕生してから現在という具合に巧く当てはめられそうなのでキリスト教に配慮した時代名なのかもしれませんね。
古第三紀は更に3つの世に分かれます。タイムスリップ物の創作で主人公達がタイムスリップする際は代の他に紀と世を入力する必要があるみたいで世まで入れないと正確にタイムスリップ出来ないみたいです。6500万年前からスタートした世を暁新世、5580万年前からスタートした世を始新世、3390万年前からスタートした世を漸新世と呼ぶ。この3つの世で構成されるのが古第三紀です。隕石衝突による恐竜絶滅から寒冷化と熱帯化の極端な気候変動が世の移り変わりによって起こってるらしくその気候変動に付いていけずに滅んだ哺乳類や鳥類なども多かったようです。新生代の時代で哺乳類と鳥類が生き延びれたのは温かい毛で覆われた恒温動物で常に大量にエネルギーを消費して熱を吸収・発散させる急速な温度調整機能があったからこそだと思います。この時代の有名な動物は霊長類の先祖と呼ばれるノタルトゥス、クジラの先祖のバシロサウルス、恐鳥類のディアトリマ、サイのような外見のウインタテリウム、サイの先祖と言われるインドリコテリウム、巨大な頭を持つアンドリューサルクスなどが居ます。
新第三紀は2つの世に分かれます。2300万年前から始まる中新世、500万年前ぐらいから始まる鮮新世の2つです。イネ科の植物の登場によりそれを主食とする偶蹄類などが進化して現在に近い形になっていきました。この時代も古第三紀と同じく温暖化と寒冷化という極端な気候変動が繰り返される時代だったようで環境の変化に付いていけずに絶滅した動物も居ます。また恐鳥類のようにニッチの生存競争に敗れて絶滅していく種なども居ました。この時代に生息していた有名な動物は猿人と呼ばれるアウストラロピテクス、象の先祖のマストドン、馬の先祖のメリキップスなどが居ます。
第四紀は人類が本格的に自然界から離れて独自の世界を構成していく時代でした。またよく新生代を取り扱う創作に出てくる厳しい環境「氷河期」もこの時代からでした。更新世は258万年前からのスタート、完新世は1万1700万年前からのスタートでした。第四紀は今のところこの2つの世(時代)によって構成される時代ですが最近になって国際地質学会などでは人類が地球を支配している世(時代)を地質時代に組み入れる動きがあるようです。なので、あと何十年かしたら人類が地球を支配し始めた時代も世として新たに増やされる可能性があります。氷河期と温氷期が繰り返される第三紀時代よりも厳しい気候変動で絶滅した動物はやはり数多いです。現在も氷河期と温氷期の繰り返しは続いてるようで氷河期もいずれは再び訪れることが明らかになってるようです。世界の各地が厳しい吹雪と氷床に覆われ島が大陸と氷で繋がって動物の移動が出来る状態になっていました。獲物を追いかけ日本にやってきた縄文人などもそうでした。この時代に生息していた有名な生き物はマンモス、オオツノジカ、ダイアウルフ、スミロドン、トクソドンなどが居ます。人類によって絶滅させられた動物としてはジャイアントモア、ドードー、ステラーカイギュウ、ニホンオオカミ、ニホンカワウソなどが居ます。絶滅した人類にはホモ・エレクトゥス(原人)、ネアンデルタール人(旧人)、クロマニョン人(新人)などが居ました。学校の歴史の授業でスタートするのは主にアウストラロピテクスの猿人からのスタートです。人類史の場合は基本的に400万年前からを取り扱うようです。
では、先ほどからずっと匂わせていた地質学会で議論されている人類支配の地質時代名称について紹介します。人類が支配している地質時代の名称とは「アントロポセン」の事です。2000年にパウル・クルッツエンというドイツ人のオゾンホールを研究している大気学者が提唱した地質時代名で概要があまりにもしっくり来るので学会でもこの時代名を正式に取り入れようとする動きが活発らしいです。日本のニュースサイトでは「カラパイア」が取り上げてました。時代設定としては完新世の後の時代で日本語訳は人新世と呼ぶ。人類が地球環境を大きく変動させた時代という概要で始まりの時期は産業革命以後のエネルギー大量消費社会の18世紀以降からが望ましいだろうと博士は述べているが人類活動の地球環境に対する変化の影響は現在も続いているので正式に取り入れられるのにはまだまだ時間がかかるとされている。ただ、人類の歴史は短すぎるし日本史と世界史では人類誕生からを有史時代として取り扱っているので人新世という時代名が取り入れられても歴史学においてはさほどの影響はない。また日本では「地学」の学習そのものが義務教育でストップしているので一般人が地質時代の細かい区分や時代名を覚える事はないと思うので日本では人新世はポピュラーな時代名にならないだろう。また、人新世を設定した場合あまりにも時代期間が短過ぎるので地質時代の時代設定としては不都合な気もする。人新世が定着するようになるのはあと100万年後ぐらいはかかりそうな気がする。まぁ、その頃まで人類が生きているかどうか分からないし地球に依存する生活を続けているのかもわからない。もしかしたらロボットが支配している時代かもしれないし宇宙世紀のように宇宙で暮らしてるかもしれないし『マンアフターマン』の世界のように動物に先祖帰りしてるかもしれない。いずれにしても人類の歴史があと100万年も続くかどうかは怪しい。ちなみに『人類消滅後の世界』によれば人類の記録はエジプトのピラミッドやイースター島のモアイ像など紀元前の世界に作られた建造物や記録媒体程度しか残らないらしく紙やCDなどの電子媒体、アスファルトやコンクリートで作られた建造物などは数百年もしないうちに朽ち果てるという。つまり、人類が居なくなった世界の場合、後に知的生命体が地球や宇宙から現れたとしても人類の時代を探る痕跡や証拠が残らないので人新世の存在そのものが分からない可能性が高いという。まぁ、現実としては人新世という時代は日本人に根付かないと思うけど定義や概要が面白いので未来を舞台にするSFなどではこの言葉が頻繁に使われそうな気もする。